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ピザとトマトソースの関係性について

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ピザの中にはトマトソース以外のソースを使ったピザもありますが、王道はやはりなんといってもトマトソースです。本記事では、ピザ好きな方を対象に、ピザは切っても切れない関係にあるトマトソースについて説明します。

ピザとトマトの関係

ピザ発祥の地イタリアといえば、まずトマト、といってもよいほどトマトはピザをはじめとするイタリアに料理欠かせない食材のひとつです。イタリアだけでなく世界中でも愛されるトマトですが、もともとはラテンアメリカ原産で、メキシコで栽培されるようになり、16世紀ごろ大航海時代にヨーロッパにもたらされました。

ヨーロッパに渡ったトマトは、当初毒性があると考えられ、もっぱら観賞目的で栽培されていました。イタリアでは貧しい人たちがやむなく食べ始め、食材として広まることになったといわれています。この時代の貧しい人たちの食べ物の一つにピザがあり、パン生地に、トマトをトッピングする、またはトマトソースを塗って焼き上げた現代のピザの原型が食べられていました。ピザマリナーラは、パン生地にトマトソースを塗って焼き上げたシンプルなピザで、ナポリの貧しい船乗りたちに愛されました。

トマトソースを味わうピザ

トマトソースを主役にしてピザを味わうときには、生地やトッピングはシンプルにするとよいでしょう。伝統的なイタリアのピザは、この典型です。冒頭で紹介した船乗りのピザ、ピザマリナーラはチーズさえトッピングしないトマトソースと生地だけのピザです。トマトソースと生地だけというと、物足りないと感じる人もいるかもしれませんが、良質の生地とトマトソースを使うことで、素材の味を味わえる一品になります。

18世紀から現代まで、すたれることなく愛されているピザマリナーラを味わわない手はないでしょう。ピザマリナーラのほかに、同じくナポリ発祥のピザマルゲリータもトマトソースを味わうことのできる伝統的なピザです。マルゲリータは、トマトソースを塗った生地にモッツァレラチーズとバジルをトッピングしたピザで、イタリアの国旗と同じ配色は目にも美しく、トマトソースとモッツァレラチーズのシンプルで軽い組み合わせを楽しむことができます。

トマトソースのバリエーション

イタリア政府公認の非営利団体・真のナポリピッツァ協会のウェブサイトには、ピザソースに関する説明があります。概要を日本語にすると「皮をむいて手でつぶしたトマトを用いるか、生のものを使う場合にはスライスしたものであるべき」となり、前者の「皮をむいて手でつぶしたトマト」はトマトの水煮だと考えられます。この記述から、伝統的かつシンプルなトマトソースはトマトのみの潔いものだとわかります。

AVPN International Regulations(「Condiments」の項に記述があります。)
https://www.pizzanapoletana.org/en/ricetta_pizza_napoletana

伝統的なシンプルなトマトソースにアレンジを加えていくことで、自由自在にトッピングや好みに合わせたトマトソースを作ることができます。オリーブオイルを加えると、まろやかなトマトソースに仕上げることができます。塩分はピザの生地に含まれるので必須ではありませんが、トマトの味を引き立たせるために、塩をひとつまみ控えめに加えてもよいでしょう。

さらに、にんにくやこしょう、唐辛子、ハーブで味にアクセントを持たせるのも一つの手です。ピザソースと相性のよいハーブとして、オレガノ、ローズマリー、タイムなどがあります。「ハーブを使いこなすのは難しそうだ」「あまり使わないハーブをたくさん買うのは・・・」という人は、イタリアンハーブミックスや、ハーブソルトを使うと手軽です。

トマトというと、赤いトマトがまず思い浮かびますが、黒、紫、青、黄色、緑などさまざまな色のトマトが存在します。ソーシャルメディアでは、これらをスライスして、他の色鮮やかな野菜も合わせて焼いた虹色のピザを見かけます。黒や紫、青色のトマトはなかなか手に入らないかもしれませんが、黒に近いトマトはアントシアニンの含有量が多く、うまみが凝縮されているといわれています。もし手に入れる機会があったら、ピザソースのかわりスライスしてトッピングしてみてはいかがでしょうか。

簡単でおいしいトマトソースの作り方

トマトソースを作るといっても、長い時間をかけて材料を煮て・・・と手間と時間をかけてトマトソースを作る必要はありません。前出の真のナポリピッツァ協会のウェブページの説明にもあるように、火を使わずに、トマトの水煮を手でつぶすだけ、トマトをスライスするだけでトマトソースが作れるのです。

ここでは少しアクセントを加えたトマトソースの作り方を紹介します。ピザ1枚には多い分量ですが、残ったソースはトマトパスタやミネストローネスープなどほかの料理にも使えるので、冷蔵庫または冷凍庫に保存しておくとよいでしょう。

トマトソースの材料

・トマトの水煮缶 1缶

・にんにく 1かけ

・オリーブオイル 大さじ1

・塩こしょう 少々

・(お好みでイタリアンハーブミックス)

トマトソースの作り方

  1. トマト缶をあけて、すべての材料を合わせてブレンダーで混ぜる。ブレンダーがない場合は、ニンニクをみじん切りまたはすりおろして、分離しないようによく混ぜ合わせる。
  2. 30分ほどおいて味をなじませる。

ここではトマトの水煮缶を使うレシピを紹介しましたが、トマトの旬である夏には生のトマトを使ってトマトソースを作るのもオススメです。一昔前と比べると、夏以外の季節にもハウス栽培のおいしいトマトが手に入るようになりましたが、真夏の太陽を凝縮したようなトマトの味は格別です。

トマトの皮を湯むきしたり、煮詰めて水分を飛ばしたりするのには手間がかかりますが、手間に見合うだけのピザが焼けるはずです。トマトソースを作る手間を省きたいという人は、薄くスライスしてトマトソースがわりにトマトをトッピングしてもよいでしょう。

まとめ

本記事ではピザとトマトソースについて、歴史的にどのような経緯でピザとトマトが出会ったのかから始め、トマトソースを味わうピザ、トマトソースのバリエーション、簡単に作れておいしいトマトソースの作り方を紹介しました。

ピザに塗られたトマトソースはあまりにも当たり前すぎて、これまで意識することがなかったという人もいるかもしれません。作り方や究極にはトマトの種類にまでこだわってみると、とても奥の深い世界であることがわかります。ぜひ本記事をきっかけに、自分の好みのトマトソースを探して、ピザの楽しみ方を広げてください。