ピザとイタリアの関係とは

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イタリアといえばピザが思い浮かぶほど、ピザは世界中に知られたイタリア料理のひとつです。本記事ではピザ好きの社会人を対象に、知っているようで知らなかったピザとイタリアの関係を詳しく紹介します

ピザが世界的な人気料理になるまで

ピザは世界の多くの国で食べられている人気料理です。ピザの原形は紀元前のイタリアで生まれたもので、平たく焼いたパンでした。この平たく焼いたパンはお皿のように使われていたと言われています。

イタリア料理といえばトマト、ピザといえばトマトソースというくらいイタリア料理とトマトは切っても切り離せない関係にありますが、トマトはイタリアがある地中海沿岸原産の野菜ではありません。トマトはイタリアからはるか遠い南アメリカ原産の野菜です。

南アメリカとヨーロッパのつながりというと、歴史の授業で習った大航海時代を思い出す人も少なくないでしょう。1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見し、大航海時代が幕を開けます。大航海時代に反映した国としてスペインとポルトガルの名前がまず挙がりますが、コロンブスはイタリアのジェノバの出身だったといわれています。

さまざまな品物がアメリカ大陸からヨーロッパに持ち帰られ、トマトも例外ではありませんでした。しかしトマトがヨーロッパで食用になるまでには長い時間がかかりました。なぜならトマトがヨーロッパに渡った当初、トマトには毒があると考えられていたため、観葉植物として育てられていたからです。そのような中でもスペイン領だったナポリの貧しい人たちの間で食糧難からトマトが食べられるようになり、18世紀から19世紀にかけて一般にトマトが食べられるようになったといわれています。

トマトが貧しい人の間から広がったように、ピザも高級料理ではなく手に入る食材を平たいパンの上にのせて焼くストリートフードでした。ナポリを代表するピザのひとつ、ピザ生地の上にトマトソースを塗ったシンプルなピザ、ピザマリナーラは18世紀にナポリの漁師たちの間で人気となった現代のピザの原形ともいえるピザです。これに続いて19世紀にナポリでは、かの有名なピザマルゲリータが生まれます。ピザマルゲリータについて詳しくは本サイトのピザマルゲリータに関する記事も読んでみてください。

カジュアルにもフォーマルにも幅広く楽しめ、シンプルな食材の味を活かしたピザはイタリア移民とともに世界中に広がっていきました。世界中で愛される料理となったピザは各地で独自の進化を遂げています。

ピザの二大聖地 – ナポリとローマ

イタリアの中でも、ナポリとローマは特にピザで有名です。ナポリはピザ発祥の地として有名で、ブーツの形をしたイタリアの足首の少し北に位置するイタリア第三の都市です。ローマはイタリアの首都であり最大の都市です。ナポリとローマ、それぞれのピザの特徴をみてみましょう。

<ナポリのピザ>

ピザの発祥の地、ナポリのピザでは厚みのある生地が使われます。麺棒を使わず手で伸ばすこともあり、生地はもちもちでボリュームがあります。前出の漁師のピザマリナーラ、王妃に供されたともいわれるピザマルゲリータがナポリの伝統的かつ代表的なピザです。食べごたえのあるピザ生地にシンプルなトッピングをしたピザがナポリのピザの特徴です。

ナポリのピザについては、イタリア政府公認で1984年に設立された「真のナポリピッツァ協会」という非営利団体があり、ナポリのピザを保護する活動をしています。ウェブサイト(*1)にはピザの作り方(*2)も掲載されています。日本語のウェブサイトもあります(*3)。興味がある人は真のナポリピッツァ協会のウェブサイトをのぞいてみてはいかがでしょうか。

<ローマのピザ>

ボリュームがあるナポリの生地に対して、ローマのピザの生地は薄くてパリッとしています。生地は麺棒でしっかり伸ばし、焼成に時間をかけることでローマのピザ特有のパリッとした生地の食感が出ます。トッピングについてはナポリのような伝統的な定番のピザはなく、より自由に多くの食材が使われるようです。

ピザではありませんが、ピザの名前の由来となったラテン語の「ピンサ」(動詞pinsereの過去分詞形)の名前を持つピザ風の食べ物もローマでは有名です。もともと楕円形のパンを平たいパンのことで、これにトッピングをのせてオーブンで焼いたものは白いピザとも呼ばれ、ローマで人気の食べ物のひとつです。ピンサをはじめ、ピザの名前に興味があるという人は本サイトのピザの名前の由来に関する記事も読んでみてください。

https://www.pizzasnella.it/en/the-pinsa-romana/

ここではイタリアの中でも特にピザで有名なナポリとローマについて紹介しましたが、郷土愛の強いイタリアならではで、ジェノバ風など各地の地名のついたピザがあるのも知っておきたいところです。

イタリアの新しい食文化のトレンド

イタリアではたくさん具材をのせすぎないシンプルなピザが愛されているようです。強いていうと、ピザマルゲリータのようにモッツァレラチーズを使うピザでは、伝統的な牛乳のモッツァレラチーズのかわりにより濃厚で高級な水牛の乳から作られたモッツァレラ・ブッファラが選択肢となることがありますが、これも新しいトレンドというわけではありません。

ピザに限らずイタリア発祥のトレンドとして、スローフード(*4)をおさえておくとよいでしょう。スローフードは1980年代にファストフードに対して始まった運動で、環境、人の健康、食の伝統や地域性を見直そうという動きです。この運動は世界的な広まりを見せ、組織としてのSlow Foodには世界160カ国以上に数百万人の賛同者 (4*) がいるといわれています。偶数年にはSalone del Gusto Slow Food Festivalといわれるスローフードの大規模なイベントがイタリア北西部の都市トリノで開催されています。ファストフードとして手軽にお財布に優しい値段で食べられるピザも魅力的ですが、スローフードの動きを知るきっかけとして、環境や生産者に配慮して作られた伝統的なピザを味わってみるのもよいかもしれません。

そのほか、伝統的なピザマリナーラやピザマルゲリータは、マルゲリータではチーズこそ使われるもののベジタリアンのピザであることも押さえておくとよいでしょう。欧米では環境への影響や動物の権利といった倫理面から菜食主義を貫く人もすくなくありません。ベジタリアンや動物性の食材を食べないビーガンの人と食卓を囲む際にピザは料理の選択肢のひとつになりえるのです。

まとめ

本記事では知っているようで知らないピザとイタリアの関係についてピザの歴史も交えて紹介しました。また、イタリア発祥のスローフードの動きや世界的なベジタリアニズム、ビーガニズムの広まりについてもピザとの関連で説明しました。本記事をきっかけに、数千キロ離れたピザ発祥の地イタリアに思いを馳せながらピザを味わってみてください。

1. https://www.pizzanapoletana.org/

2. https://www.pizzanapoletana.org/en/ricetta_pizza_napoletana

3. https://japan.pizzanapoletana.org/

4. https://www.slowfood.com