ピザの名前の由来

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マルゲリータピザやビスマルクピザなど、個々のピザの名前の由来が語られることはありますが、ピザ自体の名前の由来を見聞きすることはあまりありません。本記事ではピザ好きの方々を対象に、ピザの名前の由来を知っておきたい理由から始め、ピザの歴史と合わせて、ピザの名前の由来を紹介します。

ピザの名前の由来を知る理由

ピザに限らず、ものの名前やその語源について知ることは、対象をよりよく理解することにつながります。ピザの名前は歴史、ラテン語や関連する言語、ピザの作り方などとも関連していることから、食事の席のうんちくとして知っていると、一緒にピザを囲む人に楽しい話題を提供できます。

ピザがどのように作られてきたか、名前の由来とともに実はストリートフードだったという歴史も知ることで、格式ばりすぎることなくリラックスした雰囲気でよりおいしくピザを食べられるでしょう。また、ピザが元来どのようなものだったかはピザの名前の由来と深い関わりがあり、どのようにして現代のピザのスタイルに辿りついたかと合わせて知ることで、新しいピザのアレンジを思いつくきっかけになるかもしれません。自家製のピザを極めようとしている人は歴史にも興味があるのではないでしょうか。

今私たちが食べているピザは生地とソース、トッピングで成り立っていて、ソースやトッピングのいずれかが欠けてしまうとピザとして物足りなく感じるかもしれません。しかし、ピザの原形は平たいパンで、お皿のように使われていたこともあり、現代のピザとかけ離れた姿をしていました。そんなはるか昔のピザですが、名前の由来となる特徴はすでに備えていました。

続いてピザの名前の由来を知る上で知っておきたいピザの歴史を振り返ってみましょう。

ピザの名前の由来を知る上で知っておきたいピザの歴史

現在のピザは生地の上にトッピングをのせオーブンで焼いたもので、ピザの原形のような食べ物はすでに紀元前から存在し、当時は平たく焼いたパン生地を食器のように利用していたようです。古代ギリシャの平たいパンはピラコウスと呼ばれ、このような平たいパンは近隣地域でも食べられていました。(1*) ギリシャのピタや、トルコのピザと呼ばれることもあるピデもそのひとつです。なんとなくピザと名前が似ていませんか?地域的な近さや言語的な近さから似た音が、類似の食べ物の名前になったと考えられそうです。

このピザの原形ともいえる平たいパンが現代のピザに近づく転機となったのが、南アメリカからヨーロッパにもたらされたトマトです。ピザとトマトソースはもはや切っても切り離せず、イタリアのもうひとつの国民食であるパスタでも多用されることから、イタリアや地中海沿岸の食材と思っていたという人もいるかもしれません。イタリアにトマトがもたらされた16世紀、トマトは毒があるとして観葉植物のように扱われていましたが、当時スペイン領だったナポリの貧しい人たちから18世紀から19世紀にかけて食用の用途が広まったといわれています。(2*)

このあと現在も人気の定番のイタリアピザであるピザマルゲーリータやピザマリナーラが作られるようになり、現代のピザのスタイルが確立されました。ピザはイタリアからの移民とともに世界各地にもたらされ、世界で人気の食べ物のひとつになりました。

ピザの歴史をおさえたところで、本記事の本題であるピザの名前の由来をみてみましょう。

名前の由来

ピザの名前の由来には諸説あります。ピザの原語となった単語はイタリア語、イタリア語の派生元であるラテン語、ラテン語が語彙を多く取り入れた古代ギリシャ語に由来するものが多いようです。

たとえば、発酵させた生地を表す古代ギリシャ語の単語pikte(πικτή)がラテン語でpictaとなり、ピザの語源となったとする説があります。平たく焼いたパンをお皿に使っていた時代からの長いピザの歴史をうかがわせる名前の由来といえそうです。

そのほかピザを作る動作を表す単語にピザの名前が由来するという説もあります。ラテン語の動詞pinsere(過去分詞形pinsa)で、強く打つ、たたくことを意味します (3*) 。この単語の意味は、のばして広げると説明されることもあり、いずれにしても、ピザ生地をのばす様子にピザの名前が由来していると考えることができます。

ローマにはピンサと呼ばれる平たいパンがあり、長らくパンの代わりに食べられてきましたが、楕円形に生地をのばしてピザのようにオーブンで焼いたものはローマの白いピザとも呼ばれローマで人気の食べ物のひとつになっています。(4*) 動詞ではpinsereの他に、ピザの名前はひねる、引っ張る様子を表すpizzicareに由来しているという説もあります。どちらの単語に名前が由来するにせよ、生地作りと成形はピザ作りの要所で、生地の成形の動作に由来してピザの名前がつけられたのにはうなずけます。

最後に一風変わったピザの名前の由来を紹介しましょう。ここまで紹介した由来はイタリア語の起源とも言われているラテン語やラテン語が多く語彙を取り入れた古代ギリッシア語の単語に由来するものでしたが、ドイツ語にピザの名前が由来するという説もあります。

ピザはイタリアの料理なのになぜドイツ語?と不思議に思った人もいるかもしれません。陸続きのヨーロッパでは歴史上度々侵略や他民族の侵入が起こりました。イタリアも例外ではなく、6世紀に独自のドイツ語を話すランゴバルド人が侵入し、彼らの一口を意味する語bizzoまたはpizzoがピザの名前として使われ、ピザの名前がドイツ語に由来するといわれているのです。

まとめ

本記事ではピザの名前の由来について、なぜ知っておくとよいのかから始め、ピザの歴史の概略とともに説明しました。ピザというと生地の上にトマトソースをぬってトッピングをしたものを真っ先に思い浮かべますが、ピザの長い歴史の中でピザがこのような形になったのはごく最近のことです。

歴史や名前の由来を知ると、いかにピザの中で生地が重要な役割を果たすかがわかります。名前の由来を知って、ピザの生地作りに凝ってみたい、生地をもっと味わってみようと思った人もいるかもしれません。古代のピザにインスピレーションを得たピザを作ってみてもよいでしょう。ピザを作るとき、食べるときに本記事で紹介した名前の由来を思い出して、ピザの味はもちろん、名前の由来などのストーリーも合わせてこれまでより一層ピザを楽しんでください。


 (1*) https://ja.wikipedia.org/wiki/ピザの歴史

 (2*) https://ja.wikipedia.org/wiki/ピザの歴史

 (3*) https://en.wikipedia.org/wiki/Pizza#Etymology

 (4*) https://it.wikipedia.org/wiki/Pinsa