アンチョビはスーパーマーケットでも気軽に手に入れられる上に、缶詰め、ビン詰めで販売されているため保存食としても優れています。
アンチョビの独特な塩辛さはお酒のおつまみやサラダにも合いますが、ピザとの相性もいいことをご存じでしょうか。
本記事では、アンチョビとピザの相性がいい理由や、おすすめのピザレシピ、アンチョビの保存法や注意点について紹介します。
アンチョビとは?
バーニャカウダのソースなどでもおなじみのアンチョビは、どのような原材料を使用して作られているのでしょうか。
アンチョビの特徴
アンチョビは3枚おろしにした、カタクチイワシを原料に作られている加工品です。アンチョビの歴史は紀元前60年頃にまでさかのぼり、イタリアではすでに保存食として食べられていたと言われています。
アンチョビは数カ月間塩漬けして発酵させ、オリーブオイルに漬けることで長期保存を可能にしています。
この発酵段階で染み出た液体が魚醤(ナンプラー)です。アンチョビの種類は、3枚おろしのまま加工された「フィレタイプ」とペースト状に加工された「ペーストタイプ」の2つです。
アンチョビの栄養成分
アンチョビには、青魚に豊富なDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)や、カルシウム、ビタミンA・B2・D、タウリン、チロシンなどの健康づくりに欠かせない栄養成分が多く含まれています。
塩漬けされて余分な水分が抜けているため、栄養成分がギュッと凝縮されているのです。
アンチョビとオイルサーディンの違い
アンチョビとオイルサーディンはイワシを原材料にした加工品ですが、製造工程に大きな違いがあります。
アンチョビは塩漬けして数ヵ月発酵させてからオイル漬けにします。長期間塩漬けされて塩分濃度が高いため、他の食材と一緒に食べるのが一般的です。
一方、オイルサーディンは頭・内臓を取り除いたイワシを塩水に漬け、低温のオイルで煮て加熱されています。アンチョビよりも塩気が少ないのでそのままでも食べられるのが特徴です。
アンチョビとピザの相性がいい理由
アンチョビがピザとの相性がいいのはなぜでしょうか。その理由はアンチョビの製造過程にあります。
アンチョビの塩気の強さ
アンチョビがピザと相性がいい理由は塩気の強さにあります。アンチョビは数カ月間塩漬けされており、アンチョビ1尾(15.7g)あたりの食塩相当量は2.2g。(*1)一方、ツナ缶(165g)あたりの食塩相当量が1.49gであることからも、アンチョビの塩分濃度が高いことが分かります。(*2)
あまりのしょっぱさにそのままでは食べられないアンチョビですが、ピザにトッピングをすることで他の食材を引き立ててくれます。
発酵によって深まる旨み
長期発酵されたアンチョビは独特なニオイを放つため、苦手な人も少なくありません。しかし、その独特なニオイはアンチョビの旨みが凝縮された証でもあります。
ブルーチーズなどの癖のあるピザが好きな人やピザの奥深さを追究したい人におすすめのトッピングです。
アンチョビを使ったおすすめピザレシピ
アンチョビがピザのトッピングにおすすめなのが分かったところで、次はおすすめのピザレシピを紹介します。次のレシピを参考に、フィレタイプ、ペーストタイプそれぞれを使ったピザを作ってみてはいかがでしょうか。
アンチョビフィレにぴったりのシンプルピザ
アンチョビと相性がいいトッピングは、チーズやトマト、オリーブ、ニンニクなどが挙げられます。ここで紹介するのは、シンプルなピザを作りたい人にオススメのレシピです。
- アンチョビフィレやトマトを一口大に、オリーブやニンニクはスライスする
- ピザ生地にオリーブオイルを塗り、アンチョビ、トマト、オリーブ、ニンニクを乗せる
- チーズを散らして焼き上げれば完成
アンチョビソースでおしゃれなサラダピザ
ペーストタイプのアンチョビにぴったりなのは、フレッシュな野菜をトッピングしたサラダピザです。
サラダピザに合う2種類のアンチョビソースレシピを紹介します。
ソース①
- オリーブオイルを熱し、みじん切りのニンニクを炒めてアンチョビペーストを混ぜる
- 塩、コショウで味を整え、バターを隠し味に入れれば完成
ソース②
- ソース①(バターなし)にすりつぶしたアボカドを入れて混ぜ合わせる
焼き上げたピザ生地にお好みの野菜をトッピングし、アンチョビソースをかければサラダピザの完成です。
開封したアンチョビフィレの保存法
アンチョビフィレの保存方法は、冷蔵・冷凍の2種類です。
冷蔵の場合、オリーブオイルを追加してアンチョビが空気に触れないようにしましょう。ビン詰めはふたをしっかり閉めてから冷蔵庫に保管します。缶詰めの場合は密閉容器に移してからオリーブオイルに漬けて密閉してから冷蔵庫に入れてください。
アンチョビフィレを冷凍する場合は、身だけを取り出し2~3枚ずつラップで包みます。アンチョビの風味を落とさないためにも、ラップで包んだアンチョビは、密閉袋に入れてから冷凍庫で保管します。
冷蔵・冷凍保存ともに保存できる期間の目安は1カ月程度です。低温保存することでオイルが白くなる場合があります。使用する際は、事前に常温に戻しておきましょう。
トッピングする際の注意点
アンチョビをピザのトッピングに使うときの注意点は、塩分のバランスをとることです。アンチョビは塩分濃度が高く、たくさんの量をトッピングすれば塩分のとり過ぎになります。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18歳以上の成人男性が1日に摂取できる食塩量の目安は7.5g未満、18歳以上の成人女性は6.5g未満としています。(*3)また、日本高血圧学会では1日6g未満が推奨されています。(*4)このことからも、健康に配慮したピザを作るのなら、以下の2つのポイントに注意してください。
- チーズやサラミ、生ハムなどの塩分が高い食品をトッピングする際は、アンチョビの量を控える
- 野菜をたっぷり使う
野菜にはナトリウムを排出するカリウムが豊富に含まれているため、塩分のとり過ぎを防ぐためにも、たっぷりの野菜と一緒にとりましょう。
まとめ
アンチョビは独特なニオイや味のクセはありますが、凝縮された旨みや強い塩気は大人の口に合う絶品ピザに仕上げてくれます。お酒のおつまみにも合いますし、アンチョビピザをこれまで一度も食べたことがない人にとっては新しいピザの世界を知ることができるでしょう。
ぜひ、紹介したピザレシピやアンチョビソースを参考に作ってみてください。ただし、注意点にもある通り塩分が高いため、トッピングする量は調整しましょう。
参考URL
(*1)https://calorie.slism.jp/200698/
(*2)https://calorie.slism.jp/110263/
(*3)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html