タンパク質の一種であるグルテンを摂取しない、または含まないことを表す「グルテンフリー」について耳にしたことがあるという人も少なくないでしょう。グルテンはパンやピザの生地をふっくら膨らませるのに重要な役割を果たしますが、グルテンフリーが注目を集める中、グルテンフリーのピザも作られています。本記事ではピザ好きの方を対象にグルテンフリーのピザについて紹介します。
グルテンとは?グルテンフリーとは?
はじめにグルテンとは何かについて押さえておきましょう。グルテンはタンパク質の一種で、小麦粉と水をこねることで生成されます。小麦粉そのものにはグルテンは含まれず、小麦粉の中のグルテニンとグリアジンが水と混ざってこねられるとグルテンになります。パンやピザの生地のレシピでこねが十分か確認するために、生地を指で伸ばして薄いグルテン膜ができるか確認するプロセスを見たことがあるという人もいることでしょう。パンやピザの生地の基本的な材料は小麦粉と水、イースト、塩で、これらをこねて形成されたグルテンの膜の中にイーストが糖質を食べてガスを出し、生地が膨らむというわけです。
多くのパンやピザの生地作りで重要な役割を果たすグルテンですが、アレルギーの原因となることも知られています。近年、世界的に有名なアスリートがグルテンを摂取しない「グルテンフリー」と呼ばれる食事制限を実践し、関連書籍が出版されたことで (1*)、グルテンフリーが広く世の中に知られるようになったといわれています。ひどいアレルギー症状が出なくても、グルテンの消化不良が体調不良につながることもあり、グルテンアレルギーがなくてもグルテンを避ける人が出てきています。グルテンフリーについては国際規格があり、欧米諸国ではこの規格にのっとった用語を定義し表示義務を貸している国もあります。(2*) 欧米先進国では「グルテンフリー」表示のある食材は、健康食品店だけでなく一般のスーパーマーケットでも売られています。
グルテンの過剰摂取は気になるものの、ピザを食べるのはやめられないという人もいることでしょう。また、グルテンアレルギーのある人の中にもピザを楽しみたいという人がいることでしょう。グルテンはパンやピザの生地作りで重要な役割を果たすと書きましたが、グルテンフリーが広まる中でグルテンなしでも、かなり本格的な生地を作れるようになってきています。
続いてグルテンフリーのピザの作り方の概要を紹介します。
グルテンフリーのピザを作るには
ピザのトッピングの多くはグルテンを含まない食材なので、ピザをグルテンフリーにするには、生地に使われる小麦粉を除去してグルテンフリーにします。
これまで小麦粉をはじめとするグルテンを含まない粉を使ったパンというと、米粉を使ったものでは生地がぼそぼそしてしまったり、逆にライ麦を使ったものでは生地がべったりしてしまったり、なかなか本格的な仕上がりにはなりませんでした。しかし、近年、アレルギーに対応したレシピがインターネットで共有されるようになり、さらにグルテンフリーが注目を集めるようになると、さまざまなレシピが考案され、グルテンを含む生地に近い生地をグルテンフリーで作れるようになってきました。
一番簡単にグルテンフリーのピザを作るには、グルテンフリーのピザ生地ミックスを使って生地を作るとよいでしょう。グルテンフリーのパン生地ミックスの中にはピザに使えるものもあります。一般のスーパーマーケットでみつからない場合は、輸入食品店やオンラインショップで探してみてください。
市販のミックスを使う以外にも、米粉や豆の粉などを使用して作るグルテンフリーのピザのレシピがインターネット上で多数公開されています。米粉に独特の粘りのある片栗粉やタピオカ粉を加え、ベーキングパウダーで生地をふっくらさせるものが一般的です。(3*) イーストによる膨らみは期待できませんが、小麦粉を使った生地のような焼き色や風味を再現するためにイーストを入れるレシピもあります。
基本のピザ生地と同様、まずは粉類、ベーキングパウダー、塩、水、オリーブオイルのシンプルなレシピでグルテンフリーのピザ生地の基本をつかむとよいでしょう。慣れてきたらその他の材料も使ったレシピを参考に、好みの材料をみつけてオリジナルのレシピを作れるようになります。市販のミックスの原材料表示も参考になります。
グルテンフリーではありませんが、古代小麦と呼ばれる体に吸収されやすいグルテンを含むスペルト小麦を使ってピザ生地を作るのも一つの手です。(4*) スペルト小麦にはグルテンが含まれるため、通常のピザ生地を作るようにイースト発酵で生地を膨らませることができます。ただし、アレルギーを持っている方や食事指導を受けている方は、担当医の指示に従って使用を検討してください。
おすすめのグルテンフリーのピザ
グルテンフリーの生地はどちらかというと薄手で軽い仕上がりになるため、マルゲリータといったシンプルなトッピングのピザに向いています。健康志向からグルテンフリーにする場合にも軽めのシンプルなトッピングがぴったりです。
生地に米粉を使う場合、米の味はそこまで主張しませんが、米粉の生地と和の食材を合わせてみてもよいでしょう。ただし、トッピングで醤油を使う場合、一般的な醤油の原材料に小麦粉が含まれています。グルテンフリーのピザを作る場合は、トッピングに醤油を使わない、小麦粉を含まない醤油を使うといった工夫が必要です。和の食材では小麦粉を原料とする麩にもグルテンが含まれます。
まとめ
本記事では今注目を集めているグルテンフリーについて概要を説明し、グルテンフリーのピザの作り方、おすすめのグルテンフリーのピザを紹介しました。グルテンフリーが注目される中、グルテンフリーでも本格的なピザが焼けるようになってきています。
ピザはパンほどふっくらさせる必要がなく、グルテンフリーベーキングのよい入り口となるでしょう。グルテンフリーのピザは、世界の食のトレンドを知り、アレルギーについて理解を深めるきっかけにもなります。従来のピザが大好きな人も、グルテンフリーを実践したい人もぜひ本記事をきっかけにグルテンフリーのピザを焼いてみてください。
(1*) テニスのノバク・ジョコビッチ選手。 https://www.amazon.co.jp/dp/4883206335/
(3*) https://www.kurashiru.com/recipes/9dfa4b47-ddf0-4954-bf03-57f1a0566929