ピザを頬張るとき、あつあつのチーズが「びよ〜ん」と伸びるあの瞬間。
あれこそ、ピザの幸福度を一気に上げる魔法です。
実はこの“チーズの伸び”、科学的に説明できる現象だと知っていますか?
この記事では、ピザをもっと美味しく食べるために、「チーズが伸びる仕組み」と「一番おいしい温度帯」を解説します。
チーズはなぜ伸びるの?
チーズが伸びる理由は、ミルク由来のタンパク質「カゼイン」 にあります。
- カゼインは、網目状のネットワーク構造
- この網目に脂肪と水分が入り込んでいる
- 温度が上がると、網目が柔らかくなり、引き伸ばされる
- だから “びよーん” と伸びる!
チーズの伸びは、タンパク質 × 脂肪 × 水分 × 熱のバランスで決まる“科学反応”なんです。
チーズが最も伸びるのは50〜60℃

モッツァレラチーズ(ピザに最も使われるチーズ)は、50〜60℃のときに最も伸びると言われています。
なぜ50〜60℃なの?
- 50℃:タンパク質ネットワークが柔らかくなる
- 60℃:脂肪がしっかり溶けて、チーズが滑らかに広がる
この温度帯を過ぎると…
- 70℃以上 → チーズから脂肪が分離し、油っぽくなる
- 40℃未満 → タンパク質が固まり始め、伸びにくくなる
つまり、 “あつあつだけど熱すぎない”状態がベスト。
では、家で温め直すとしたら?
家で温め直すとき、電子レンジだけに頼るとチーズは伸びないことが多いです。
なぜなら、電子レンジは水分を急激に加熱するので、チーズの脂肪と水分が分離してしまうからです。
おすすめの温めなおし方は、“フライパン × 弱火 3〜5分”。
- フライパンにピザを乗せる
- 蓋をする(蒸気で全体を温める)
- 弱火で3〜5分
- 底はサクッ、チーズは50〜60℃前後に◎
サクサク × のびのび × ジューシーの三拍子が揃います。
チーズが伸びる「写真の撮り方」

SNS映えする“伸びるチーズ写真”のコツも紹介。
1)温めた直後 10〜20秒が勝負
温度が下がりすぎると伸びないので、切ったら即撮影。
2)片手でゆっくり持ち上げる
早く持ち上げると切れやすい。ゆっくり“重力に任せる”。
3)光はピザの“後ろ”から
逆光で撮ると、チーズの透明感が美しく映る。
チーズが主役のピザなら「チージーロール」も体験してほしい

ピザハットには、チーズを一番楽しめる生地があります。
チージーロール
・みみの部分だけで約300gになるほどのチーズが入っている(Mサイズの場合)
・巻き込むことで“温度保持力”が高い
・冷めにくく、チーズの伸びが長く楽しめる
“チーズの美味しさ”を存分に味わうなら、チージーロールはまさにピッタリな生地です。
まとめ:チーズは「温度」で最高に美味しくなる
- チーズが伸びる理由は“タンパク質構造の変化”
- 最適温度は 50〜60℃
- 電子レンジより“フライパン温め”がベスト
- チーズの伸びは写真映えも大幅にアップ
- ピザハットのチージーロールは温度保持が強く、伸びるチーズを堪能できる
「チーズが伸びるのは運じゃなくて科学だった!」
そんな小さな発見が、今日のピザをもっと美味しくします。
参考文献
Kuo, M. I., Wang, Y. C., & Gunasekaran, S. (2001). Effect of heat treatments on the meltability of cheeses. Journal of Dairy Science, 84(10), 2371–2376. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11573771/
Li, H., Wei, S., Zhang, X., & Zhao, W. (2020). Effects of thermal, stretching and melting treatments on structural and textural properties of mozzarella cheese. Food Science, 41(5), 27–34. https://www.spkx.net.cn/EN/10.7506/spkx1002-6630-20181205-065
Scientific American. (2017). Why cheeses melt differently. Scientific American. https://www.scientificamerican.com/article/why-cheeses-such-as-mozzarella-and-cheddar-melt-differently-than-ricotta/








